書籍・雑誌

2011/06/06

なぜか感じる喪失感。「未来ちゃん」!

この種の写真集として異例の5万部を突破しているそうで、みんな“未来ちゃん”の表情とその世界に癒されたいんだろうなぁ・・・。
川島小鳥写真集「未来ちゃん」ナナロク社刊。

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強烈な目力を持った女の子「未来ちゃん」が、田舎(佐渡?)の野山を中心に日常を過ごす様を撮影したものです。

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昭和を感じさせる町並み、家屋。
ある時点で時を止めてしまったような空気の中、対照的にありあまる“生”を発散させる「未来ちゃん」。

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見ている内にとても癒しを感じている自分がいると共に、どこか“喪失感”をも持つのは何故でしょう?

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それは震災とその後に続く原発事故と無関係ではないのでしょう。
この撮影地はおそらく今回の被害地ではないと思いますが、どこか共通した空気感を感じてしまうのでした。

震災前であれば微笑ましくも強い個性を持った幼女の写真集だったのですが(それはそれで高レベルのものです)、このタイミングでの出版で違う意味をも内包している気がしました。

・・という事はともかく、とても楽しめる写真集だと思います。
お奨めっ!

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2010/06/16

iPhoneで読書。

iPadが登場して、日本の出版社からも書籍がダウンロード販売されるか、と注目されていますが・・・。
ひっそりと文春文庫からアプリとして数冊がリリースされていました。
その中の一冊をiPhoneにダウンロードし、その日の内に完読。
奥野修司著「心にナイフをしのばせて」

Kokoronin

ミステリーだと思っていたら、実はノンフィクションでびっくり。
「酒鬼薔薇事件」に共通性の多い、30年ほど前の実在の事件。
殺された少年。その残された家族の長年にわたる心の葛藤を追ったもの。
犯罪被害者の悲劇を考えさせられる一冊でした。
一読の価値あり。

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2008/08/11

早逝した女子バレー選手の手記。

今年4月、がんにより21歳でこの世を去ったバレーボール選手の手記を読みました。
「明日もまた生きていこう 18歳でがん宣告を受けた私」
横山友美佳著。

Asumomata

女子バレーのライトなファンである地酒星人ですが、実はこの本に接するまで横山友美佳という選手を知りませんでした。
名門・下北沢成徳高校在籍時、彼女は高校2年にして全日本に選出されています。
2005年に発症したがんにより闘病生活を始め、一時は完治をしたかに思われましたが再発をし、2008年4月17日に21歳の若さで永眠しました・・・。
闘病しながら早稲田大学を受験し合格、アルバイトをしたり海外へひとり旅をしたりするなど、短い生を燃焼させた人生であったと感じました。

日本代表最長身189cmである彼女。
もし病魔に襲われていなければ北京オリンピックのコートに立っていた可能性が高いと思います。
彼女と同時に全日本へ選出された木村沙織選手(同じく下北沢成徳高校)の活躍を見るにつけ、その思いが強くなります。

そしてなにより10歳まで北京で暮らし、日本に帰化をした経歴である彼女であれば、どれだけ北京の舞台に立ちたかった事だろうかと思います。

一昨日の日本vsアメリカ戦は残念な結果でしたが、会場のどこからか代表の試合を横山友美佳が応援しているような気がしていました。

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2008/06/16

「生麦事件」に驚き!

Namamugijiken 昔から歴史小説が好きで、司馬遼太郎氏の著作を中心に様々読んで来た地酒星人なわけですが。
一昨年お亡くなりになった吉村昭氏の「生麦事件」を読んでびっくり。
なんだこれ。
無茶苦茶おもしろい。

“生麦事件”と言えば薩摩藩の大名行列と接触したイギリス人商人を薩摩藩士が無礼打ちにした高名な歴史的事件です。
それが元で薩摩と英国の戦争(薩英戦争)に発展するわけですが。

それらの展開を緻密な調査によって、淡々と、実に淡々と様々な人士の動きを時系列に描写して行くわけです。
この小説に主人公はいません。
誰々がこう思ったであろう、というような推測も一切ありません。
ただ、事実をそのまま並べて行くのです。
延べの登場人物は数百人にもおよぶでしょうか。
こういうアプローチの歴史小説には初めて接しますし、それでも内容が退屈でないどころか、凄くエキサイティングなのが驚き。
曖昧な部分をまったくいれない吉村氏の取材力もあるのでしょう。
そして、この時代のドラマチックな政治の動き自体が輝きを放っているのでしょう。

薩英戦争後、薩摩と英国が親しくなり、英国より買い入れた最新の武器をもって倒幕へと突き進むわけですが、この小説はそこまでを描いて終わります。
薩摩と英国の関係はこれまであまり描かれた事はないわけですが、この視点で幕末史を俯瞰出来たのは素晴らしい経験でした。

以下、雑感。

●特定の主人公はいないので、特に誰に肩入れするわけでもなく読める。よって、冷静に歴史を眺められる。司馬小説には無いアプローチ。

●幕府は薩摩など雄藩の力を借りながら生き残っていけたのに、自らその道を閉ざしてしまったわけだな。

●「翔ぶが如く」で自分の中に作られた島津久光への印象が変わった。なんだ、判断に誤りの無い名君じゃん。

●幕府との虚々実々の交渉、英国との息詰まるやり取りなど、全編通して小松帯刀が大活躍。大河ドラマ「篤姫」にも出ていますが、こりゃあ早死にしてしまうわけだよ(明治3年に35歳で病死)。

早速つぎには「桜田門外ノ変」を読み始めました。

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2007/12/02

武蔵のようになりたい。

井上雄彦氏のバガボンド第27巻
吉岡一門とのたった一人での死闘。

Vagabond27

闘い続ける内に武蔵がかいま見た達人の境地。
柔らかく、まわりの空気までも変えて行く・・・。

いや、今日も仕事なのですが。
たった一人で敵(ではなく仕事)に囲まれている状況が武蔵に似ているなぁ、なんてね。
気負うことなく、自信を持ってここを突き抜けていきたい。
“ぬたあん”とね。

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2007/10/15

【書評】日本は勝てる戦争になぜ負けたのか

新野哲也氏著「日本は勝てる戦争になぜ負けたのか」を読了。
あらためて暗然とする。
書かれている事は個々には知識として持っていたものだが、先の戦争における日本の政治・軍事の失策をここまで並べられると本当にため息が出て来る。

Nihonhanaze

第二次大戦は日本にとって無謀な戦争であったと言われているが、それは戦争指導者たちが無謀にしたのであって、作戦によっては勝てる(=戦争目的を達する)事が出来た戦いであった、と新野氏は語る。
敵国に勝つには強いリーダーシップと的確な戦略が必要であったのに、日本の軍部では海軍と陸軍が反目し合い、その中でも統制派と皇道派に別れていがみ合っていた。
他にも親ドイツ派や親ソ連派、親英米派などに別れ、社会主義革命を理想とする軍人・官僚などもいた。
日本が敗れる事で、革命を起こしやすい環境を作れると考える者がいたというのも驚き。

大戦当時、ルーズベルトのまわりに100人を超えるスターリンのスパイが居たのだから、日本の上層部に同じような者が混じっていないとは言い切れないだろう。
ゾルゲ事件などは氷山の一角かもしれない。
ソ連のスパイに限らず、謀略が渦巻いていたのが先の戦争であったし、そうでなければ説明の付かない、「何故?」が多過ぎるのだ。

それらの指導者層の為に犠牲となった、多くの国民と前線の勇敢な兵士たちにあらためて哀悼の意を表したい。

そう素直に思わせてくれる新野氏の著作である。

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2007/10/04

ポーの一族 ラジオドラマ!

ラジオ関西で今月6日から毎週土曜日だそうで。
ラジオ関西って東京で聴けるだろうか?
なんとかしたいなぁ〜。

しかし、なぜ関西?

まさか、エドガーが関西弁話さないだろうな。

メリーベルの消滅した夜、アランの部屋に現れて・・・。

「僕と一緒に来いへんか?
 ひとりではむっちゃ淋しいやんっ!!」
とか。

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2007/09/30

よつばと!7巻が出ました!

待ちに待った「よつばと!」第7巻が出ました!
四ッ谷駅近くの書店で入手、家に帰るのももどかしく、駅の改札で人を待っているフリをしながら速攻で読破。

あ〜、やっぱり「よつばと!」は面白い。
新キャラクター、風香の友だち“しまうー”も登場して、「よつばと!」ワールドはますます楽しさを増しておりまする(^^)。

Yotsubato7

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2007/09/25

いつまでもデブと思うなよ!

オタキングこと岡田斗司夫氏の、今話題のダイエット本です。

「いつまでもデブと思うなよ」

日本酒生活を送って腹まわりの気になる地酒星人、買って読んでみました(^^)。

オタキング氏と言えば、漫画・アニメ文化の評論家として古くから活動していて、そのオタク風巨体はトレードマークのように感じていました。
その巨体が、1年で約半分になったという驚きの事実。
118kgが67kgになったというのです。

Itsudebu で、そのダイエット方法というのが、特に変わった方法ではなく。
基本的に食物のカロリー計算なのです。

基礎代謝分+アルファ(オタキング氏の場合、1500kcal)。これが一日の摂取目標カロリー。

但し一日の配分はまったく自由で、カロリーの範囲内であれば何を食べても良い。

たったこれだけなのですが、その過程にひそむコツや罠をひとつひとつ解き明かしています。

ダイエットには段階というものがあるらしく、「助走〜離陸〜上昇〜巡航〜再加速〜軌道到達」という言葉で語られます(この比喩がやはりオタクっぽいですね:笑)。

特に「巡航」段階での、元に戻そうとする自分の体との駆け引きには興味を持ちました。
ここで様々なダイエットを補助的に試すというのが面白い。
ひとつのダイエットだけをやっていると体がプログラミングを変え、やがてまた太り始めるように仕組んで来るので、違うダイエット方法を次々とぶつける・・・う〜ん、そうか、そうなのか。

影響を受けやすい地酒星人、試してみようかと思っています。
身長・年齢から考えると地酒星人の目標摂取カロリーもオタキング氏と同様、1500kcal程度かと思われます。
日本酒一合は180kcalなので、一日二合として360kcal。
残り1140kcalをどう配分するか・・・う〜ん、ちょっと難しいか・・・(汗)。

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2007/08/30

ディック・ブルーナのデザイン!

誰でも知ってるミッフィーちゃんの生みの親、ディック・ブルーナさんの仕事にスポットを当てた本です。

「ディック・ブルーナのデザイン」

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若い頃のポスターなどの仕事も網羅されていて、そのセンスに驚きます。
シンプルを追求している氏らしい作品がたくさん。

ミッフィーを描く際の過程も紹介されていて、これがまた楽しく。
氏の描くキャラクターは幾何学的な線で構成されていますが、実は全部定規を使わないフリーハンドなのですね。
よく見ると線がひじょうに震えているのがわかります。
これは当然意図的なもので、氏のこだわりがわかり、感心します。

Dickbruna2

とっても素敵だったのが氏のアトリエ。
こんなスペースでデザインに没頭出来たら良いなぁ。
地酒星人もがんばらねばっ!

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