私は二歳 追悼・市川崑監督。
市川崑監督がお亡くなりになりましたね。
慎んでご冥福をお祈りいたします。
地酒星人の場合、同監督の作品で一番印象に残っているのが1962年(地酒星人の生まれた年です)製作の「私は二歳」。
その年のキネマ旬報で一位に輝いた作品です。
高校生の頃、この作品の存在を知りましたが全くと言っていいほど映画館にかからない。
京橋のフィルムセンターで一回だけ上映される情報をつかんで一人で観に行ったのをおぼえています(ヘンな高校生ですよね)。
生まれたばかりの赤ん坊の独白から始まる、ちょっと風変わりな映画。
冒頭はまるで「我が輩は猫である」の人間版。
船越英二と山本富士子演じる若夫婦に生まれた男の子を軸にした、当時の子育て事情を描いています。
やがて同居するようになった祖母(浦辺粂子)が持ち込む古い価値観と、若夫婦の新しい子育てがぶつかり、確執を生みます。
それでも子供の危機には自然に協力をし合い、子供を中心に家族が融合していく。
自分が生まれた当時の我が家もこんな感じだったのかな、などと思いつつ観ていました。
とてもほのぼのとしていて、その中に市川監督らしい現代的な表現がちりばめられている映画でしたね。
斬新な表現とテンポある展開の前半〜中盤と、祖母から孫へとつながって行く命をテーマとした伝統的映画表現の終盤。
欠点も多くある映画だと思いますが、今でも印象に残っているシーンがたくさん有ります。
市川監督の撮った映画は本当に多岐にわたっていますが、この「私は二歳」が地酒星人の“ザ・市川崑”です。
あ、「東京オリンピック」も良かったですね。
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コメント
今日テレビで、市川監督の作品をズラズラーっと紹介していました。結構知ってる作品があって、すごいなぁ~・・と思いながら、実はあんまり作品を見ていないことに気付きました。
子供の頃は、多分なんか暗そうな映画だなって思っていて、見なかったのかな。今見たら、ジワジワ心に沁みるような気がします。
地酒星人さんのオススメ、見てみようかな♪
投稿: hirorin | 2008/02/14 20:11
陰影をクッキリ付ける人物の撮り方…独特でしたね。色彩もすごく綺麗。
自分のベストは、最初の『犬神家の一族』です。
角川映画1号にして、映画マニアには評判の悪かった角川映画の中で、唯一(?)評価が高かった作品。新しいのはまだ未見なので、ぜひ見てみたいです。
─ご冥福をお祈りいたします
投稿: ハナマルユキ | 2008/02/14 21:38
《hirorinさん》
「犬神家の一族」をはじめに挙げる人が多いですね。
最近自らリメイクもされましたし。
「私は二歳」、レンタル店ではほとんど扱ってないでしょうし、買うと4,000円くらいするし。
悩むところですね。
洋画みたいに旧作を1,000円代で出してくれたら買いたい日本映画たくさんあるのになぁ。
投稿: 地酒星人 | 2008/02/14 21:39
《ハナマルユキさん》
映画監督の岩井俊二氏が「犬神家の一族」を高く評価していますね。
映画作りの手本としていると語っているようで。
犬神家、観ている筈なんですがあまり記憶に残ってないんです(テレビ放送を部分的に観ていた?)。
でも何故か公開当時にサントラは買ったんですよ。
あのテーマ曲大好き♪
投稿: 地酒星人 | 2008/02/14 21:43
大往生ですよね。凄いなってホント思います。
しかし「東京オリンピック」はリーフェンシュタールの手法を真似た作品かなと。
ビルマ。。や犬神家。。より
地酒星人さんのこの、「私は二歳」のほうが興味あるなぁ!
山本富士子さんは舞台でも恐ろしいほどの輝きと華を持った、素敵な女優さんですし。是非見てみたいです。
投稿: あっき | 2008/02/14 23:19
90歳過ぎまで現役でいられたんだから、幸せですよね。「木枯らし紋次郎」のカット割り、テレビとは思えないほど斬新でした。
投稿: kazu | 2008/02/15 07:23
《あっきさん》
「民族の祭典」は観たことが無いんですよ。
でもオリンピックのドキュメンタリーを考えたら意識しないわけないですよね。
「私は二歳」、観るとその時代の空気を感じられるかもしれませんね(^^)。
投稿: 地酒星人 | 2008/02/15 10:14
《kazuさん》
本当にすごい事ですよね。
一昨年まで新作が公開されていたわけですからね。
三谷幸喜監督の新作にも俳優として出演なさっているそうで、それがこれから公開・・・生涯現役、ぜひ見習いたいものです。
投稿: 地酒星人 | 2008/02/15 10:17
すべてを観た訳ではないのですが、市川監督は「映像の人」だったと思います。
私の一番は「東京オリンピック」です。去年の末に3度目を観ただかりだったのですが、まさか亡くなるとは・・・。
「犬神家の一族」も、映像がすごいですよ。
投稿: フットゴリ | 2008/02/15 13:41
《フットゴリさん》
「東京オリンピック」のアベベが疾走するシーンが脳裏に浮かびます〜。
この映画は政府がお金を出していて単純な国威発揚映画を望まれていたらしいですが、出来上がったのは人間にフォーカスしたドキュメンタリーで、政府から激怒されたそうです。
なので、本当のオリジナル『市川崑版東京オリンピック』は公開されず、かなり編集で手を入れざるを得なかったそうですね。
投稿: 地酒星人 | 2008/02/15 23:15
↑そんないきさつがあったんですね。
最初は、市川崑監督ではなく黒澤明が監督を頼まれたそうですが、いろいろあって降りたそうです。その辺にも共通の理由がありそうですね。
投稿: フットゴリ | 2008/02/20 15:07
《フットゴリさん》
あ、黒澤監督の件も何かで読んだことがあります。
お得意のマルチカメラでひとつのシーンを様々な角度から撮ろうと考えていたようで、製作費が膨大なものになってしまう為、実現しなかったそうで(他にも理由はあるかもしれませんが)。
黒澤オリンピックも観てみたかったですね。
投稿: 地酒星人 | 2008/02/20 17:55