地酒星人が20歳前くらいの時のことです。
通学の際にその前をよく通った総合病院がありまして。
広い敷地の病院で、コンクリート造りの一般病棟の奥の方に古い木造の建物がありました。
塀の外からその二階部分を見る事が出来たんですね。
よく廃校になった古い木造校舎などがありますよね。
あんな感じの明治の終わり頃から昭和のはじめにかけて作られたような風情の二階建て。
そこだけぽっかりと時代に取り残された雰囲気で。
今でもはっきり覚えているのですが、ふだんは誰も居ないガラス窓の中で、子供たちが輪になって先生と思える女の人を中心に楽しそうに踊っていたのです。
少し奇異な感じがしたのが、子供たちがおかっぱ頭なんですね。
その当時(昭和50年代)でもよっぽど田舎の方に行かなければ拝めないようなヘアスタイル。
いわゆるワカメちゃんのカット。
そして輪の中心になっている先生は白いブラウスを着ていて、「二十四の瞳」の大石先生のようなスタイル。
そう、その集まり自体がものすごくレトロな雰囲気だったのです。
ガラス窓から見えるのは先生の上半身と子供たちの頭くらいだったので、あまり詳しくはわからないのですが、何十年か前の世から抜け出て来たような印象の集いでした。
いや、特に怪談めいた話として紹介したいわけではないのです。
それを見たのは明るい昼間ですし。
都合3回ほど見ていますし。
なにより先生とその子達が楽しそうだったので、不気味な雰囲気というものはありませんでした。
長期入院している子供達と看護婦さんのレクリエーションとも考えたのですが、あの出で立ちがとても奇妙な感じだったのです。
実際に見てみないと伝わらないたぐいの違和感かもしれませんが・・・。
・・・と、それだけの話なのですが。
その病院は随分前に建て替えられてその建物も無くなりました。
今日、ふとしたはずみで思い出したもので、ここに記しておきたいと思っただけです。
あれは何だったんだろう。
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