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2006/12/02

セピア色した映画が好き:3《生きる》

先日、ウルトラマンなどを演出された実相寺昭雄監督が亡くなられたと思ったら、今日は往年の名女優、小田切みきさんの訃報が伝えられました。

小田切みきといえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが黒澤明監督の名作“生きる”の中のオモチャ工場で働く女工の役でしょう。
胃がんで未来に希望が持てず、暗く落ち沈んだ主人公(志村喬)。
それと対照的に生の喜び・きらめきに溢れた女工役を印象的に演じましたね。

生きる意味を見いだせない主人公に、小田切みき演じる女工が自分が作っているウサギの人形を見せながら言います。《以下大意》
「こんなモノでも、作っていると楽しいわよ。
この人形を作っていると日本中の子供達と友だちになった気がするの。
課長さんも何か作ってみたら?」

Ikiru

この台詞を喫茶店の二階で聞いた主人公。
それまで役所で書類に判を押しながら暮らして来た彼は本当の意味で人生を生きてはいなかった。残り少ない人生、自分も何かを作ろうと意を決して階段を降りて行く。
横のテーブルで友人の誕生パーティの為に集っている女子学生達。
階段を降りる主人公と入れ違いに当の誕生日を迎えた女学生が昇って行く。
女学生達が声を揃えて歌うハッピーバースデー。
それはまるで本当の人生を“生き始めた”主人公への祝福のよう・・・。
やがて彼は市民の願いである児童公園を作るために残りの生涯を捧げます。

このシーンが、地酒星人は大好きです。
正直、すごくストレートで“クサイ”演出であるかもしれません。
しかし、“生きる”を思い出す時には必ずこの場面を思い浮かべます。

小田切みきさん、76歳という事でまだお若かったのですね。
様々な映画で楽しませていただいて、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。

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