アタゴオルは猫の森!
映画の話、続きます。
「アタゴオルは猫の森」。
30年以上続いている(のか?)、ますむらひろし氏の漫画を原作としたCGアニメーションです。
感想を一言で言いますと、残念ながら今ひとつでした(汗)。
主人公の大食いの猫“ヒデヨシ”が暮らすアタゴオルという土地が、ある日 闇の女王(という名ではありませんが、そんな感じの登場人物)に乗っ取られ、みんなが洗脳されて闇に閉ざされそうになる。
その危機を、ヒデヨシを慕う光の精(という感じのキャラクター)によって、救われるという話。
皆さん、アタゴオルの漫画、読んだ事ありますか?
私としては存在は知っていたし、何度か手に取った事もありました。しかし、どうも馴染めずに“読者”と呼べるほどの者になった事はありません。
これは私だけの話かもしれませんし、大方の人がアタゴオルの世界観やヒデヨシのキャラクターをご存知なのかもしれません。
というか、そうでないと説明のつかないストーリーなのです。
ヒデヨシなど登場人物の性格を、鑑賞者に理解させるような演出はほとんど無く、冒頭からすぐに例の闇と光の戦いになってしまうからです。
私のようなアタゴオル初心者は「????」となってしまいました。
これが“サザエさん”の桜新町、“ちびまる子ちゃん”の清水市が闇の精に乗っ取られるんなら、登場人物の性格や住んでいる町を理解していますので“大変だ感”が大いに刺激されるのですが・・・(ちょっと例えが変かも)。
観ていればアタゴオルの住人達のキャラクターは当然わかって来ますが、共感という地点に至っていない為、なんとも感情移入が出来ず困りました。いや、アタゴオルをもともと熟知されている方なら違和感は無いのだと思いますよ。
また嫌だったのが、闇の精に洗脳されていくアタゴオルの住人達が、いかにも全体主義に踊らされる無知な大衆として描かれており、光の精との対立がファシズム対自由といった類型的な描かれ方をされている点です。この辺に物語の深みが感じられない。
それに、クライマックスの戦いにアタゴオルの住人は一切貢献しないのですよ。闇と光が勝手に戦って勝手に決着が付く。この辺も「????」でした。
【その他雑感】
●演出者の方は存じ上げないのですが、アクションシーンのカットがやたらとアップで、しかも数カットをコンマ何秒でつなぐ為、映画館の画面では何がなんだかわかりませんでした。目が痛い。最後の方では目をつむってしまった。おそらくはテレビでの演出に馴れている方かもしれません。
CG自体はなかなか頑張っていると思いました。
●谷山浩子さんが声優として参加していましたが、ほんの数シーンの二言三言しか登場場面が無く、谷山ファンとしては残念(これは別に演出のせいではありませんが)。
●たまたまでしょうが、今回生まれて初めて自分以外人の入っていない劇場で鑑賞しました。200席近い場内に自分ひとり。すごい贅沢だ〜〜。
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コメント
何を隠そう私はアタゴオルのファンです。
といっても、延々と続いている最近の作品は読んだことがなく、20年以上前に月刊「マンガ少年」に連載してたりした頃のファンでした。
そのなんともファンタスティックな世界にかなり大きな影響を受けたものです。
そういう私なんかでしたら、ヒデヨシはもちろんのこと、テンプラもパンツも年来の友人のごとくその性格を知り尽くしていますが、善良な一般市民の方々はそうではありますまい。
>ヒデヨシなど登場人物の性格を、鑑賞者に理解させるような演出はほとんど無く
ということですと、それはやっぱり演出の力不足なんじゃないかと思います。
私自身はテレビなどでの紹介で映像を見て、テンプラがちっとも美しくないのでもうてんで観る気がなくなっています。(私にとってはアタゴオルの主役はテンプラで、その次に好きなのはギルバルスですので。ギルバルスは映画に出てくるのかな?「指輪物語」のアラゴルンみたいなキャラです。)
若い頃に好きだった(そして今でも大好きな)作品が話題になったり映画化されたりするのはそれなりに嬉しいことですが、「やめといたほうがよかった・・・」的な仕上がりだとがっかりも倍増です。
ドラマ「のだめカンタービレ」の竹中直人演じるシュトレーゼマン同様、観ればハラがたつだけ、ということになりそうですね・・・(^_^;)
でも「アタゴオル物語」の原作はかなりイイです。
手に入りにくいかもしれませんが、読むなら昔の作品からどうぞ。最近のは「毒」が足りず、物足りませんので。
投稿: ろー | 2006/10/24 22:57
《ろーさん》
コメント、ありがとうございます♪
「マンガ少年」に連載されていた件、覚えていますよ〜。
記事にありますように、あまり馴染めなかったのですが、たしかにテンプラが主人公なイメージは持っていました。
ところがこの映画では、本当に脇役ですね〜。
あ、ギルバルスは出て来ます。あのニヒルなカッコ良い猫ですよね?
いろいろ不満のある映画ですが、アタゴオルがお好きなら是非観てください♪ 私とはまた違った感想を持たれるかもしれませんし。
「アタゴオル物語」の原作、今日たまたま寄った書店では各巻並んでいましたよ。映画化されて、出版社も力を入れているんじゃないでしょうか。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/24 23:19
映画館で1人というのは、なかなかできない体験なんではないでしょうか!
お仕事・・・とか?
この映画はほとんど気にしてませんでした(汗)。
原作も知らないし、掲載されていたことも全然!
「え?原作は有名なの?!」って思っちゃいましたよ~。
投稿: まき子 | 2006/10/25 13:17
>200席近い場内に自分ひとり。・・ってスゴイっすね!
誰にも気を使わずに、ボリボリ音たててせんべい食べたい!(笑)
泣けるシーンではオイオイ泣きたい!笑えるシーンではワっハハと笑える・・・って、部屋でビデオ見てるみたいだな(笑)
投稿: イケ | 2006/10/25 16:02
《まき子さん》
特に仕事ではなかったんですが(広い意味ではそうかも)、なかなか無い体験をさせてもらいました。
やはりまき子さんの世代だと、原作を知りませんよね〜。まずは原作の世界をじっくり描いた演出をして欲しかったです。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/26 09:00
《イケさん》
やたら広い“自宅”でした。
でも、結局ひとつの席にしか座れないので案外つまらないです。
あ、映画の内容がホラーだったら、すごく恐くなると思いますね。
記念に写真を撮ってやれと思ったのですが、場内が暗いので奥まで写らず(^^;)。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/26 09:03