父親たちの星条旗・・・
今年読んだ二冊の本、「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道 」「名をこそ惜しめ 硫黄島・魂の記録」によって太平洋戦争における硫黄島の闘いの詳細をこの年になって初めて知った地酒星人。
クリント・イーストウッド監督による日米それぞれの視点に立った2本の映画にとても興味をかき立てられました。
公開二日目の今日、矢も楯もたまらず映画館へ。
なかなかの盛況で、特に高齢の方が目立ちましたね。もしや硫黄島戦参加者の方かと思うようなお年の方もいらっしゃいました。
映画の内容です。これからご覧になる方も多いと思われますので、感想のみ。
戦闘シーンはさすがの迫力。
前記の本を読んでいましたので上陸直後の米軍の惨状は知っていましたが、映像で再確認しました。「プライベート・ライアン」でのノルマンディー上陸戦の描写を上回っていると思います。
米軍からの視点で描かれている為、遮蔽物から米軍を襲う銃眼(日本軍のもの)が不気味に描かれていますが、硫黄島戦を知らない日本の若者なら登場人物のアメリカ兵に感情移入してしまうんだろうなぁ・・・。
有名なアメリカ国旗を摺鉢山(すりばちやま)山頂に掲げた兵士達の写真。
この写真に写った兵士達が、その後本国に送られ英雄として大歓迎を受けます。
そして戦時国債募集の為に米国中を行脚させられるのですが、精神の葛藤に苛まれて・・・。
アメリカの若者の苦悩もわかるような気がしますが、所詮は勝った側の贅沢な悩みという気がしました。
この戦闘の際、日本側は死を覚悟した2万人が硫黄の吹き出す島の地下で飢えと乾きに苦しみながら絶望的な闘いを行い、そのほとんどが戦死しているからです。
日米の戦力差はそれほどはっきりしたものでした。
映画は回想の形で戦闘シーンが扱われる事が多く、なおかつ様々な人物のものであったりする為、筋を追えなくなる部分がありました。この辺り、残念。
映画が終わり、クレジットが流れた後に第2弾「硫黄島からの手紙」の予告編が流されました。
こちらは日本側から視た硫黄島戦を描かれています。
渡辺謙演じる栗林忠道中将。
おそらくは最後の突撃の際の言葉、「我は常に諸子の先頭にあり。」を聞いた時、目頭が熱くなりました。
すぐに場内が明るくなりましたので、ひじょうに困りましたが・・・(^^;)。
やっぱり自分は、日本人ですね。
予告編を見た限り、イーストウッド監督も日本側を誠意を持って描いてくれていると感じました。12月の公開が楽しみです。
「硫黄島からの手紙」を観た後に、今日観た「父親たちの星条旗」も完結するのかもしれません。
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コメント
プライベート・ライアンの描写は
個人的に「ちょっと長いな~~エグイしな~~」と思っていたのですが
それ以上なんですか?!
でもでもやっぱり見てみたい・・・。
ストーリー性はありそうですね。
硫黄島からの手紙も、間違いなく見てしまいそうです。
投稿: まき子 | 2006/10/30 12:54
こーゆう映画って普通はアメリカ寄り、日本寄りな内容になってしまいがちだけど、双方からの視点で2本。違いを観てみたいです。
(1941みたいに日本人がバカにされて描かれるのも・・・(苦笑)実話の説得力・・・見終わったあと、靖国に行く人も増えそう。。。
投稿: イケ | 2006/10/30 13:33
「名をこそ・・」もまだ読んでいないんです~
でも読んでから絶対映画館へ足を運びたいですね。
こうした類の映画は歴史的見解をきちん踏まえつつ
客観的な目線でもって見たいなぁと。
イーストウッド監督が日本側から見た硫黄島をどう描いているのか、とても興味深いです。
最近の、戦争を描いた日本の映画にはどうも不満がありありなので・・
地酒星人さんのご感想、とても参考になりました。
投稿: あっき | 2006/10/30 22:18
《まき子さん》
戦闘シーンは、本当にすごいです。
ただし、本で読んで想像していた戦闘描写はもっと激しいものでした(冷や汗)。
硫黄島からの手紙、とても楽しみ・・というか、正座してみたい気持ちです。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/31 00:02
《イケさん》
たしかに。
1941はムカつきますよね!
でも、この映画の製作は同じスピルバーグなんですよね。
でも、「シンドラーのリスト」や「ミュンヘン」などを観ると、彼も変わったとは思います。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/31 00:04
《あっきさん》
“父親たちの星条旗”、ひと言で言えば反戦映画なんですね。
イラクで米軍が展開している中で、イーストウッドは良くこの映画を撮ったと思います。
“硫黄島からの手紙”にも、期待です。
というか、何故日本人の手で硫黄島を真摯に描いた映画が無いのか・・・。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/31 00:07
> 何故日本人の手で硫黄島を真摯に描いた映画が無いのか・・・。
銃刀法と消防法の関係でまともな戦闘シーンが撮れないから、だと思います。特撮チックになってしまうとリアリティがないですし、戦闘および掃討(火炎放射器で洞穴を焼き払うアレです)のシーンがないと硫黄島にはなりませんし。
米国側からみた硫黄島戦の記録としては、ロス,ビル・D.著「硫黄島―勝者なき死闘」読売新聞社、が秀逸です。合衆国海兵隊記念碑のモチーフとなった、あの、「星条旗を押し立てる兵士達」の写真がいかに撮影されたか、の裏話も載っていたと記憶してます。
投稿: 目黒の清水 | 2006/10/31 09:12
《目黒の清水さん》
>銃刀法と消防法の関係
↑おぉ〜、なるほど。意外なところに理由が・・・。
ま、戦闘シーンが貧弱で説教くさい映画も観たくないですけどね。
>「硫黄島―勝者なき死闘」
↑未読です。今度是非読んでみます。
投稿: 地酒星人 | 2006/10/31 09:55
こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「父親たちの星条旗」もとりあげました。
コメント欄は、寄せ書きのようになっています。
一言コメントに参加してみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
投稿: kemukemu | 2006/11/10 19:45
《kemukemuさん》
コメントありがとうございます♪
ブログ、拝見させていただきますね。
投稿: 地酒星人 | 2006/11/11 08:30