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2005/09/11

各駅停車の旅4《雨の由比宿疾走篇》

焼津のホテルで早朝、目覚めた地酒星人。
iso どうやら昨晩降り出した雨は強くなっているようだ。
台風は確実に近づいている。
本当は今日、掛川へ足を伸ばし開運の土井酒造場を訪ねたいと考えていたが、変更が迫られそうだ。早朝の段階では、東海道線の掛川・天竜川間が降雨の為に不通になっていた(後に運転再開されるが)。
今後不通区間がさらに広がる恐れは十分にある。
この風雨では、焼津の浜で磯自慢を飲むというのもあきらめざるを得ない。

こうなれば仕方が無い。手早く荷物をまとめてホテルをチェックアウトし、駅前に止まっていたタクシーに乗り込む。
「磯自慢酒造へ。」
蔵見学は望めないが、ひと目その蔵を見てみたかった。タクシーは5分ほど市内を走り、この焼津の銘酒を醸す蔵の前で停車した。
「これが磯自慢酒造・・・。」

isojiman1

ひじょうに清潔感のある、なんというかピシッとした印象のある蔵である。
もう50メートルほど南へ歩けば、そこは海である。防波堤から勢い良く白い波頭が顔を見せていた。本当に海から近い蔵だ。
蔵のまわりをグルッとまわってみるが、キチンとした印象は変わらない。

isojiman2

建物の横に大きな排気口が穿たれており、そこから低く機械の稼働音が聞こえている。おそらくは磯自慢の酒たちを冷蔵している音なのであろう。
蔵のすぐ横には川が流れており、そこには小さな公園スペースがあった。そこに水飲み場があるのを地酒星人は見逃さない。
先日、拙ブログの地酒トリビアの記事で紹介したように、磯自慢の仕込み水は水道水。
という事は、蔵のすぐ横でその仕込み水を飲めるという事だ。

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勢い良く吹き出した、“仕込み水”。

折りからの蒸し暑さのせいか、生ぬるいのが気にはなったが、ひじょうに柔らかく、飲みやすい水である。仄かに甘みさえ感じられて、“磯自慢の元”である事を確信出来た。
駅へ戻る道すがら、市内を走るいくつもの川で、海水が逆流しているのを見た。台風の影響による高波の為かと思われるが、もし磯自慢酒造が、あの土地で地下に井戸を掘っていたら、この海水の影響はまぬがれないのではないか。
その意味でも、仕込み水に水道水を使うのは理に適っていると感じた。

次に訪れたのは、焼津さかなセンター

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ここは一般の人が魚市場感覚で焼津の海産物を買える場所である。
ここで、少し早めの昼食を摂った。

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まぐろブツ切り丼。
昨晩の赤兵衛の刺身と同じく、ねっとりと濃厚な舌触りのまぐろであった。
900円。都心でこの味で昼食を出したら繁盛間違い無しである。

雨はますます勢いを増し、降り止む兆しが見えない。
焼津駅から東海道線を戻り、再び由比駅に降り立つ。
そう、昨日のリベンジである。目指すは神沢川酒造場
荷物はすべてコインロッカーに入れる。そして、サッカー観戦に使うポンチョを着て、駅前のレンタサイクルへ。
レンタサイクル屋のおじいちゃんが、「こんな雨なのに!?」と驚くが、委細構わず走り出す。昨日一度通っているので勝手知ったる由比の街。吹き込む雨が目に入って痛いが、一心に飛ばす。やがて神沢川酒造へ着。
今度はばっちり営業しているようだ。杉玉の下の引き戸を開けて中へ。
様々な正雪が立ち並んでいる。しかし、誰もいない。

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「すみませ〜ん。ごめんくださ〜い。」と声を掛けるが反応無し。
困ったが、逆に言えば居並ぶ正雪を眺めたり、飾られている賞状などをじっくり眺められるチャンスでもある。歴代の金賞受賞の賞状などを眺めている内に、蔵の方が次々と戻られて来た。

yui2

蔵元の奥様に相手をしていただいて、いろいろ説明いただく。
「息子がいればもっと説明出来るんだけど・・・」とおっしゃっていた。
昨日は東京、今日は青森の酒屋さん主催の会に出かけられているとの事。
この時期、蔵元さんは営業に忙しそうだ。
その中から、地元ラベルの純米吟醸と、低アルコール酒の「山彦」、そして吟醸生の300mlを購入した。
ここでも自転車で来たのを驚かれた地酒星人。
それならばと何重にも袋を重ねて防水していただく。うまい袋や化粧箱が見つからず、蔵の人も加わって大変な騒ぎに。駅についてから水滴を落とすようにと神沢川酒造のネーム入り手ぬぐいまでいただいてしまう。さらにオマケでカップ酒を1本。
何度もお礼をして、正雪蔵を後に。
雨はやむ素振りも見せない。
しかし、念願の神沢川酒造を訪れる事が出来てハイな気分になった地酒星人。
最近リバイバルでお気に入りの荒井由美「雨の街を」を歌いながら、由比駅を目指す。
すれ違ったおばさんが驚いている。そりゃそうだ。
台風の近づく海べりの街をポンチョを着て歌いながら自転車に跨がるおやじが一匹。
しかも、おそらくはユーミンの曲で一番乙女チックと思われる「雨の街を」をがなりながら。

♪庭に咲いてる コスモスに 口づけをして〜
だもんね。

カゴには酒を揺らしながら。
そうこうしている内に、由比駅へ到着。東海道線に乗り、来たルートをそのまま引き返す。
身延線の中では、さっき買った正雪の吟醸・生をいただいた。

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今晩の宿は山梨県の韮崎だ。

《明日に続く!》

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コメント

各駅停車の旅。楽しく拝見させていただいています。営業職時代に東海・甲信越地方。特に長野、静岡、山梨、新潟県はたびたび訪れたので、特に記憶とラップするところが大きく、懐かしさも覚えました。大手に追いやられて遠州地方で操業中の蔵は減っているらしいですね。掛川で酒屋に入った時は、大手酒問屋の平喜が扱う岡山の「喜平」が殆どでした。地酒ファンには寂しい話しです。それから、掛川の地元の人は、焼酎を緑茶で割って呑んでいたようでした。これはお茶所の特徴かな。

投稿: 喜音家蜻蛉 | 2005/09/11 10:00

私も静岡の酒蔵巡りに行ったときは
「磯自慢→焼津おさかなセンター」に行きましたよ!!
暗黙の了解コースなんですかね(笑)。
その日は、途中で仕入れたお酒と、おさかなセンターで仕入れた魚を
ホテルの椅子にずら~っと並べて
大宴会をしちゃいました。
安上がりに済んでなかなか良いですよ!

投稿: まき子 | 2005/09/11 11:15

>勢い良く吹き出した、“仕込み水”。
ついでに、お酒も吹き出してくれればいいのに・・・・なんて、小学生みたいなことを思ってしまいました(笑)でも、その水を飲みにいくだけでも価値がありそうですね〜

投稿: 酔ゐどれ | 2005/09/11 12:47

「磯自慢」の蔵って、もう少しボロイ、モトイ年季が入っているのかと、勝手に想像してました(笑)。
>神沢川酒造のネーム入り手ぬぐいまでいただいてしまう。
>さらにオマケでカップ酒を1本。
田舎の良さは、こういう人情味があるところですね。豪雨の中といい、忘れられない思い出になりましたね。

投稿: 山輝亭 | 2005/09/11 15:12

《喜音家蜻蛉さん》
お読みいただけているようで、嬉しいです。
>特に記憶とラップするところが大きく、懐かしさも覚えました。
馴染みの土地ですと空気感なども、良くわかりますよね。

>掛川で酒屋に入った時は、大手酒問屋の平喜が扱う岡山の「喜平」が殆どでした。
喜平ですか、寡聞にして知りません。
>掛川の地元の人は、焼酎を緑茶で割って呑んでいたようでした。
ほぉ〜、どんな味なんでしょうか。今度やってみようかな。


《まき子さん》
>「磯自慢→焼津おさかなセンター」に行きましたよ!!
おっ、そうですか!
さかなセンターは酒飲みには堪らないブツが揃っていますよね〜。
また行ってみたいものです。

投稿: 地酒星人 | 2005/09/11 19:38

《酔ゐどれさん》
>ついでに、お酒も吹き出してくれればいいのに・・・・
あははは、ホントにそうですよね〜。
焼津には海水浴場が一カ所あるようで、いつの日か、そこで海を見ながら磯自慢を呑んでみたいと思っています。


《山輝亭さん》
>年季が入っているのかと、勝手に想像してました(笑)。
すごく新しいという感じではないのですが、なんか整然としていました。それは蔵の横から垣間見える、酒用のケースが積み上げられている作業場らしきスペースまでの一貫した印象でした。

>田舎の良さは、こういう人情味があるところですね。
本当にそうですね。ますます正雪のファンになってしまいました。

投稿: 地酒星人 | 2005/09/11 19:44

酒問屋の平喜は掛川市が発祥の地で(いまは本社を静岡市に移転)、どういう経緯か知りませんが、「新婚」という銘柄を造っていた岡山県の酒蔵を買収して、「喜平」という酒を作らせています。で、これを静岡県内にもってきて大々的に売る‥‥ よくわからん商売をしてますね。

新幹線掛川駅構内の売店の「地酒コーナー」にも、「喜平」が「開運」「葵天下」と並んで売られています。

磯自慢の蔵は建て替えてから10年くらいでしょうか。いまの社長が蔵に戻られてから、毎年、いろいろと設備投資されています。蔵見学は飛び込みでは絶対に不可能ですが、酒の会などで社長に直々にお願いするか、都内の酒屋・飲み屋が主催するツアーに参加すれば可能です。とりあえず、「はせがわ酒店」あたりが主催の酒の会にマメに参加して顔を覚えてもらうといいのではないでしょうか。

投稿: kshimz | 2005/09/12 01:47

酒問屋の平喜さんって、おもしろい商売をしてますねえ・・・。

>酒の会などで社長に直々にお願いするか、都内の酒屋・飲み屋が主催するツアーに参加すれば可能です。
なるほど〜、やはりその手しかありませんかね。

>酒の会にマメに参加して顔を覚えてもらうといいのではないでしょうか。
今度やってみますね。

投稿: 地酒星人 | 2005/09/12 06:00

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