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2005/08/21

宮部みゆき「あやし−怪」!

先日、恩田陸の「常野シリーズ」の事を書いたが、もうひとつ、「ポーの一族」へのオマージュを感じさせる小説がある。
宮部みゆきの「蜆塚(しじみづか)」だ。
江戸の町に起こる様々な“怪”を描いている、時代恐怖短編集「あやし−怪」の巻末に収められている短編である。

口入屋(現代で言うところの就職斡旋業)を生業として来た老人が、後輩の青年に過去に出会ったある不可思議な人間達の事を語る。

この世にまったく年をとらない人間達がいる、というのだ。

子供の頃に知っていた女が、まったく同じその姿のまま、壮年になった自分の前にあらわれる。
他にも何人か同じような人間がいて、数十年の間をおいて自分の口入屋にやって来るというのだ。奉公に出ていた店の事を覚えていて、良い気風の店だった場合、代が変わって自分を知っている人間がいなくなった頃にまたやって来る。
ただしその事を彼等に言ったり、いじめたりしてはいけないよ…見て見ぬフリをしなくてはいけない…と老人は後輩である青年に語るのだ。
しかし、そう語った後、その老人は…。

ayasi年をとらない吸血鬼の苦悩を描いたポーの一族に通底する展開である。
宮部みゆきは「ポー」のファンであるし(なにせ文庫版のあとがきまで書いていて、その中でトム・クルーズの「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」はポーの盗作じゃないか?とまで言っている(笑))。
「ポー」に対するオマージュである事は明白だろう。
しかしこのインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアは本当に怪しい。こりゃエドガーじゃないの〜?メリーベルのまんまじゃないか!といった登場人物が出て来るのだ。

今40代くらいの女流作家に、「ポーの一族」は大きな影響を及ぼしているのだなあ…としみじみ思う。

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コメント

>しかし、そう語った後、その老人は…。
ってところが、とっても気になります!!
面白そう!読んでみたい!
って思わせます~~。

投稿: まき子 | 2005/08/22 00:01

一応ネタバレ防止をしておきました(笑)。
とっても怖く、そして面白い短編集ですので、是非。夏だし。納涼という事で。
文庫も出てます。このページからのアマゾン・リンクは単行本なのですが、それには訳がありまして・・・。
扉を開くと障子の柄が印刷されたトレーシングペーパーが有って、その次のページに印刷されている髷の男のシルエットがボ〜っと浮かび上がるようになっているのです。これが結構怖くて、とても好きです(爆)。

投稿: 地酒星人 | 2005/08/22 00:12

宮部みゆき大好きで読むんですが、時代小説が苦手なので、時代小説は全然手付かずです(苦笑)。
チャレンジしてみようと手に取るのですが、少し読むと頭が痛くなります・・・。

投稿: 山輝亭 | 2005/08/22 08:19

あ、山輝亭さんも宮部みゆきファンでしたか。
現代ものでは「火車」が好きですね〜。
あと、「蒲生邸事件」なんかも大好きです(戦前が舞台ですが)。
時代ものはとっかかりが難しいかもしれませんが、入り込んでしまえば、あとはいつもの宮部ワールドですから、是非に。
そういう意味では、この「あやし」のようなホラーは良いかもしれません。

投稿: 地酒星人 | 2005/08/22 12:53

以前読んだ「布団部屋」は感動しました。
つい最近まで時代小説は池波正太郎の「鬼平犯科帳」を一番としていましたが、今は宮部みゆきです。
今月「震える岩」を読んだことがきっかけで自分の中で忠臣蔵がブレイクしてしまい、丸谷才一の「忠臣蔵とは何か」を読んでいる最中で、ビデオも借り(稲垣浩監督で松本幸四郎とか加山雄三とか三船敏郎とか有名俳優てんこもりのやつです)ました。本もビデオもこれから何種類か読み見るつもりです。

投稿: かわせみ | 2005/09/30 19:35

宮部みゆきの時代ものを人に説明する時は、「赤川次郎と山本周五郎を合わせた感じ」と云っています(^^)。
宮部さんの小説は現代ものでも時代ものでも、「真面目で真っ当な人間が一番偉い!」と云っている気がします。そういう意味では忠臣蔵のテーマに通ずる部分もあるのかな?と思ったりしました。
昔観た「つか版 忠臣蔵」は好きでした〜。

投稿: 地酒星人 | 2005/09/30 20:49

何者?ときかれてしまい、ちょっととまどいました。最初に自己紹介しないで悪かったかなと・・・。
自分のブログなのが無いのでうまく伝えられないのですが、長野市在住の会社員です。昭和三十年代生まれです。お酒は好きです。昨日飲んだのは、千野酒蔵(長野市)の「昔酒」というアルコール度数21度の日本酒です。(悪くないですが飲みすぎると悪酔いしそうな予感・・ごめんなさい)先日「地酒星人」を発見し、面白かったので書籍とサッカーともちろん日本酒のカテゴリーをかなり読み込んでしまいました。ちなみにサッカーは大好きですが最も応援しているのは長野エルザという地元社会人リーグのチームです。自分のサイトはありませんが、所属している団体の役割として私が運営しているブログが一つありますので見てください。
AISCC Webサイト>>http://aiscc.org/

投稿: かわせみ | 2005/10/04 00:00

>昭和三十年代生まれです。
同年代ですね?よろしくお願い申し上げます。

>アルコール度数21度の日本酒です。
おおっ、そんな度数の酒があるんですか?千野酒蔵に関しては、よく山輝亭さんのブログ「旨い日本酒を飲もう!」で見かけます。

>長野エルザという地元社会人リーグのチームです。
良いですね〜。やはり応援出来る地元チームが有るのは良い事です。
将来のJ入りを目指されているんでしょうか?運営されているブログも拝見いたしますね。

投稿: 地酒星人 | 2005/10/04 00:12

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