粕取り焼酎!
この酒を「焼酎」カテゴリーにするか「日本酒」カテゴリーに入れるか悩んだが、一応「焼酎」カテゴリーで行く事にした。
日本酒の酒粕から生まれた、かすとり焼酎。
東力士(栃木)の15年もの。
15年ものとあるが、出荷年月日が平成14年なので、18年ものという事か。麻布の
さかや栗原さんで購入。数本仕入れた内の最後の一本との事だった。通の客の間で評判だったらしい。
開栓すると、まず鼻をつく香りに驚き、そして眉をしかめる。今まで嗅いだ事のない種類だ。妻いわく生チョコの香りとの事。どの過程でか知らないが、この酒を漉す際に藁を使っているそうで、その藁の香りが酒に移っているらしい。それが18年間の熟成を経て生チョコの香りに変わっていったという事か。蓋を取るとあたりに香りが拡散する。それほど強いもの。いやあ、ムチャクチャ癖ありすぎでんがな。と、思わず関西弁になる(笑)。
味。口に入れるとますます強くなる香りに圧倒されるものの、熟成酒らしいなめらかさがある。ただし押し出しは結構強い。キレはそこそこ良し。飲み進めていく内に何故か香りも気にならなくなって来る。そしてあろうことか、おかわりをしている自分に気づく。癖の有る酒ほど、馴れると後を引くという事だろうか。
東力士は栃木の蔵元で、戦時中に戦車の地下工場として掘られた巨大な洞窟で貯蔵をしているようだ。この焼酎もおそらくはそこで出荷されるまでの年月を眠っていたのだろう(HPによると洞窟見学が出来るようです)。
18年前は何をやっていただろうか…と、ふと考えてみた。その頃からデザイナーをやっていたが、バブルの好景気に湧いていた兜町の証券会社をクライアントにポスターやCFを作ったり、某巨大デパートの新聞広告や折り込みチラシを作っていたなあ、などと思い出してみた。片や合併で社名は無いし、片や破綻で経営母体が変わった。奢れる者も久しからず、諸行無常の響き有り、だ。いや、自分も含めてですが。こんな風に回想できるのも、古酒の深いところである。
【スペック】
東力士 かすとり焼酎 十五年貯蔵酒720ml/島崎酒造(栃木県那須郡鳥山町) アルコール度数:25度以上26度未満 出荷年月日:14年3月 価格:1200円くらい 購入場所:さかや栗原(麻布)
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コメント
かすとり焼酎ですかー。
焼酎の古酒はチョコの香りがするのですね。
東力士の日本酒の方は、今年は出来がとっても良いそうです。
投稿: まき子 | 2005/05/22 09:05
まき子さん、東力士をご存知ですか?
この粕取り焼酎を飲むまで、まったく縁のない酒だったんですよ。今年の出来が良いという事なので、今度は日本酒を是非飲んでみたいです。
投稿: 地酒星人 | 2005/05/23 01:19